業界観察

日本を代表する機械産業をしっかりと理解して就職しよう

組織体制を理解する

大手で一般的に多い形態は、本社の管理部門と各事業部門に分かれているパターン。管理部門では企画、経理、総務、法務、人事、財務などがあり、各事業部に研究チームが設置されているケースが多い。

よって、漠然と機械産業に携わりたいというのではなく、どんな分野で活躍したいのかを明確にしておくと就職の際などでは大きく役立つこととなる。

募集職種
もちろん機械系企業とはいえ、本社機能や管理部門は必要なわけで技術ばかりを募集しているわけではない。

ただ、心臓部はあくまで技術開発である。業界大手のコマツでは例えば、営業、経理、生産管理、人事、法務、開発、設計、生産技術、フィールドエンジニアなど多くの職種が募集されていた。

いずれの分野でも必要となる能力

技術であれ、入社してから必要になってくる能力の一つが語学力だと言える。

海外に研究所を持たない場合でも必須と考えておいて間違いない。というのは、この業界の文献の多くは英語であったりするわけで、こうした部分でコンプレックスをもっていては仕事のスピードに大きく影響することは容易に想像できよう。
また、コミュニケーション能力、コンピューターに対する理解も必須と考えておいた方がよい。

機械工業の各分野

《工作機械》
家電や時計といった小物から飛行機や船など大きなものまで金属を素材とする製品をつくるのに欠かせないのが工作機械である。
有名なものとしては、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、研削盤、歯切り盤、マシニングセンタ、放電加工機などがある。
経済産業省のデータによると07年の生産額は1兆3032億円。やや外需依存の業界構造となっている

《建築機械》
建築のために必要な機械でビルや住宅、下水やガスなど生活施設のほかにも発電所や鉱山開発など広いシーンでの利用が行われる。 建築用クレーン、油圧ショベル、トラクタ、ブルドーザーなど我々一般消費者にも親しみがある機械が多い。 機械産業の景気は建築機械の景気に大きく左右されるとも言われる影響力の大きな分野。 《農業機械》
建築機械に近いものがあるが、具体的にはトラクターや田植機、コンバインなどのグループを言う。 日本農業機械工業会によるとこれらの機械の精算額は4921億円程度の規模。やや輸出依存度が高い構造となっている。 《縫製機械》
いわゆる工業用ミシン、家庭用のミシン、これらの構成部品などを含むグループ。 余談になるがミシンは輸入からスタートしたものでもともとは日本のオリジナルの技術ではなかったとされている。 《食品機械》
食品の加工に使われる機械全般を言う。もっとも古い食品機械は明治の製麺機と言われている。 精米麦機械、製粉機械、製麺機械、製パン、製菓機械、醸造用機械、乳製品加工機械、飲料加工機械、肉類加工機械、水産加工機械などに分類されるが最近では多くのユニークな食品機械も誕生している。 食品機械の販売額は4560億円程度(07年)。 《印刷産業機械》
新聞、雑誌、書籍をはじめ証券や段ボールなどの加工、製本、印刷を行う機械群。 近年発達が著しい分野でもある。特にプリンタの能力が急激に高度化したことに加えて3Dプリンタが登場するなど、大きな動きがある分野の一つでもある。 06年の生産額は3364億円規模。 《包装機械》
包装に関連する機械のグループ。ピンとこないかもしれないが、通販の急増によってこの分野も大きな可能性を秘めた分野となってきている。 段ボールへのケース詰め機、テープはり機、バンド掛けなど様々な工程でのオートメーションを実現するものである。 06年時点では1508億円規模。